遅かれ早かれ多くの道場が抱える事になるであろう後継者問題。

自分が現役で指導をしている時はあまり気にならない方が多いかもしれませんが、いつか必ず、指導の現場に立てなくなり、別の指導者に後を継ぐ必要があります。

そんな時に信頼できる後継者がいない場合は、後を継げずに道場を畳まざるを得ない・・・そんな状態にならないために、後継者は必ず育てておく必要があります。

今回の記事では、後継者を育てる際に気を付けるポイントについてお伝えします。

このコラムを書いた人
大谷悟
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
  • 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
  • 自身も武道有段者で道場で指導中
  • 前職は財務省税関で広報や政府開発援助に携わる

企業のように外部から入れるわけにはいかない

武道界以外でも、後継者問題というのは存在しています。中小企業や家族経営の企業などはイメージが付きやすいと思います。

そのような中小企業では、外部から優秀な経営者を招いたり、事業ごと売却するなどの方法で対応することができます。

しかし、武道界では上述した2つの方法を取ることができません。

1つ目の外部の経営者を招くという対策ですが、道場は単なるビジネスとして収益を目的に運営しているわけではなく、各々の武道・道場が掲げる理念を達成するために運営している道場がほとんどです。

そのような道場では、後継者の指導力や経営方法などのテクニックではなく、その道場の理念に共感しているか、創始者や先代の想いを引き継ぐことができるのかが重要視されます。

残念ながらこうした精神的な要素は外部の人間が持ち合わせている事はほぼありません。従って、企業のように外部から後継者を呼ぶことは難しいのです。

また、2つ目の事業売却ですが、同じ流派の道場に所属している会員を引き継ぐという方法が考えられますが、その会員が自分の道場に通っているのは、家からの距離などの地理的な要因や、その指導者に惹かれているという要因があり、明日から違う道場に通ってください。となった場合に受け入れられる可能性は低いと思われます。

後継者を育てるには時間が掛かる

こちらについては、すでに自分の弟子を持っている方は実感されていると思いますが、後継者を育成するには非常に時間が掛かります。

指導を任せられるような技術的な素養はもちろん、理念を引き継いでいるかという精神的な条件が必要になります。

この精神的な条件は一朝一夕では身につかず、長く行動を共にすることで身についていきます。

自分が現役でいられる時間は限られており、後継者を育成するには時間が掛かる。
従って、後継者を育てるのは早い段階で取り組むべき課題と言えます。

指導できる時間には限りがある

ここで、後継者を育てる事のもう一つのメリットについてお伝えします。

それは後継者を育てる過程が現在の道場の拡大にもつながるという事です。

一人の指導者だけが教えている道場の場合、時間的なキャパシティーと物理的なキャパシティーによって道場の拡大に頭打ちが来てしまいます。

後継者を育てる事はその過程で自分の代わりに指導をしてくれる存在を育てる事になるので、これら時間的・物理的なキャパシティーを超えて道場を拡大させることができます。

後継者を育てるために取り組むこと

では、そのような後継者を育てるために取り組むことはなんでしょうか?

後継者になり得る貴重な人材と出会える確率は本当に低いです。それは、後継者が様々な条件を兼ね備えている必要があるからです。

前述した技術・精神的な素養の他、後継者として道場を運営していく以上、本業がどのような職業か現在の仕事を辞めて道場一本で生計を立てていけるかなどの経済的な要素も関わってきます。

そのような後継者と出会う確率を少しでも上げる方法は後継者候補となる現在の会員を増やす事です。

冒頭でお話した通り、外部から後継者を連れてくることは難しいため、現在の会員を大切に育て、いずれは自分の道場を継いでくれるような人材へと成長させることが確実な方法と言えます。

まとめ

今回の記事では後継者を育てる重要性についてお伝えしました。

後継者を育てるには時間がかかり自分が現役でいられる時間には限りがある。

このことを念頭に置いて早めに後継者育成に取り掛かり、思い入れのある道場がずっと継続するようにしましょう。