道場運営をしていると、
「会員のやる気を高めたい」
「もっと道場への愛着を持ってほしい」
という思いが浮かんでこないでしょうか。

実際に弊社がご支援する道場の道場長もこのような気持ちを持ちながら、どのように手を打っていけばよいか分からずお困りの方がいらっしゃいます。

多くの道場では大会や試合が大きなイベントとして位置付けられていますが、実は大会だけでは道場のファン作りは不十分です。

なぜなら、大会は参加できる人が限られてしまい、全員を巻き込むことが難しいからです。

そこで重要になるのが、大会以外の道場イベントです。

今回は、道場のファンを増やし、継続率や紹介率を高めるためのイベント企画の考え方と実例をご紹介します。

このコラムを書いた人
大谷悟
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
  • 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
  • 自身も武道有段者で道場を運営
  • 前職は国家公務員として広報や政府開発援助に携わる

なぜ大会以外のイベントが必要なのか

大会は確かに盛り上がり、達成感やモチベーションの向上に大きな役割を果たします。
しかし、参加するためには一定の技術や覚悟が必要で、初心者や低学年の子どもは参加しづらいことが多いものです。

さらに、大会は年に数回しか開催されないため、日常的な道場とのつながりを感じにくい層が出てしまいます。

ここで重要なのは、「イベント=大会」という固定概念から抜け出し、全員が関われる機会を作ることです。

小規模でカジュアルなイベントを日常の中に組み込むことで、道場は単なる練習場所ではなく、会員にとっての居心地の良いコミュニティへと変わっていきます。


ファンを作るイベントの3つの条件

大会以外のイベントを成功させるには、ただ集まって何かをするだけでは不十分です。
ファン作りにつながるイベントには、以下の3つの条件があります。

参加ハードルが低い

道着などの特別な準備が不要で、誰でも気軽に参加できることが重要です。
短い時間で開催したり、武道経験の無い保護者でも楽しめる形式を意識しましょう。

例としては、親子体験会やハロウィン練習会などがあります。
特に家族で参加できる形にすることで、保護者との関係も深まり、退会防止に貢献します。

道場らしさを感じられる

ただのレクリエーションや遊びではなく、「道場だからこそ体験できること」を組み込むことがポイントです。

例としては、板割り体験や型の発表会、護身術教室などが挙げられます。
こうした“武道要素”を取り入れることで、参加者が道場とのつながりを再確認できます。

思い出に残る仕掛け

イベント当日の楽しさだけでなく、記録や記念品によって「後から思い返せる」工夫が大切です。
記念品、集合写真、SNS映えするフォトスポットなどを用意しましょう。
イベント後に写真や動画を共有すれば、参加できなかった人の興味も引き、次回の参加意欲を高められます。


すぐに実施できる道場イベント事例集

ここからは、道場経営者がすぐに取り入れられるイベントの具体例をご紹介します。

  1. 親子稽古DAY
    親と子が一緒に体を動かすことで、家庭でも武道の話題が増えます。
    保護者にとっても「我が子の成長を肌で感じられる貴重な機会」になります。
  2. 初心者限定ミニ発表会
    昇級前や入会1〜3ヶ月の会員を対象に、道場内で小規模な発表会を開催。
    緊張感を味わいつつ、達成感を得られるので継続意欲が向上します。
  3. 季節行事(夏祭り・クリスマス会など)
    稽古とイベントを組み合わせた行事は、子どもたちが大喜び。
    保護者同士の交流も自然と生まれます。
    また、定期的に開催ができるため、道場との繋がりを持ち続けることができます。

実例:親子稽古から入会に繋げるケース

続いて、実際に大会以外のイベントから入会に繋がった事例をご紹介します。

弊社がご支援するA道場では、季節行事として、春夏秋冬に定期的に親子で稽古するイベントを実施しています。

イベント開催時のポイント

こちらの道場では以下の様な点を気をつけてイベントを実施しています。

  • 開催案内は遅くとも1か月前に周知する
    最近の子どもや保護者は他の習い事や仕事で忙しいため、案内が直前になると参加することができません。
    遅くとも1か月前には周知をしてできるだけ多くの人が参加できるようにします。
  • 兄弟や友達も参加できるようにする
    会員だけでなく兄弟や友達も参加できるようにすることで、より多くの人に道場の事を知ってもらえるきっかけになります。
    実際にこの道場では、イベントがきっかけに兄弟や友達が入会した実績があります。
  • イベント終了後にフォローする
    イベントが終わったらそのままにせず、参加者に写真を送ったりお礼のメッセージを送るということも大切です。
    その瞬間は楽しくても終わってしまうと、忘れらてしまいます。
    また、親子稽古の動画は親自身が見ても嬉しいものなので、送ってあげることで非常に喜ばれます。

まとめ|道場は“練習だけの場”から“コミュニティの場”へ

大会だけでなく、多様なイベントを取り入れることで、道場は単なる練習の場から、会員にとっての“コミュニティの場”へと進化します。
イベントは会員同士、そして指導者との信頼関係を深める絶好の機会。
規模や費用にこだわらず、まずは小さな企画から始めてみましょう。
積み重ねることで、自然とファンが増え、口コミや紹介が広がり、道場経営は安定していきます。