道場経営において、

「体験には来るが入会につながらない」
「そもそも問い合わせが少ない」

といった悩みは少なくありません。

その原因の多くは、カスタマージャーニー(顧客の行動・心理の流れ)を意識した設計ができていないことにあります。

本記事では、道場におけるカスタマージャーニーの基本と、AIDMAなどのマーケティングフレームワークを活用した実践的な考え方を解説します。

このコラムを書いた人
大谷悟
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
  • 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
  • 自身も武道有段者で道場を運営
  • 前職は国家公務員として広報や政府開発援助に携わる

カスタマージャーニーとは何か?

顧客は「段階」を踏んで入会を決めている

カスタマージャーニーとは、
見込み顧客が道場を知ってから入会・継続に至るまでの行動や心理のプロセスを可視化したものです。

多くの道場では
「HPを作る」「体験会をする」
といった施策が点で存在していますが、本来は一連の流れ(ストーリー)として設計する必要があります。

道場特有のカスタマージャーニーの特徴

道場の場合、意思決定者は多くが保護者であり、以下のような感情が複雑に絡み合います。

  • 先生は信頼できるか
  • 子どもが続けられるか
  • 他の習い事との比較
  • 費用に見合う価値があるか

これらを段階的に解消していく設計が重要になります。

5A理論で考える道場のカスタマージャーニー

5A理論とは?

5A理論は、現代のマーケティングで重視される顧客行動モデルで、以下の5段階で構成されます。

  • Aware(認知)
  • Appeal(好意・関心)
  • Ask(調査・比較)
  • Act(行動)
  • Advocate(推奨)

道場業界では、特に「Ask(調べる)」と「Advocate(紹介)」が非常に重要な要素になります。

Aware(認知)|道場の存在を知る段階

道場での主な接点

  • Google検索・Googleマップ
  • Instagram・YouTube
  • 知人・保護者からの話
  • 地域の掲示物・チラシ

ポイント
この段階では、詳しい説明よりも「近くに〇〇道場がある」という存在認知が目的です。

Appeal(好意・関心)|「雰囲気が良さそう」と感じる段階

関心を高める要素

  • 道場の写真・動画
  • 指導者の人柄・考え方
  • 子どもたちの表情
  • 道場の理念・方針

ポイント
技術力や実績よりも安心感・雰囲気・信頼できそうかが重視される段階です。

Ask(調査・比較)|本気で調べ始める段階

保護者が確認していること

  • ホームページの内容
  • 料金・月謝・追加費用
  • 通いやすさ・時間帯
  • 他の道場や習い事との違い
  • 口コミ・評判

ポイント
この段階で情報が不足していると、「よく分からないからやめておこう」と離脱されやすくなります。

Act(行動)|体験・入会を決める段階

行動を後押しする要素

  • 体験申込みの分かりやすさ
  • 不安を解消するFAQ
  • 体験時の丁寧な説明

ポイント
行動を妨げる最大の要因は「不安」です。
不安を先回りして潰す設計が重要です。

Advocate(推奨)|紹介・口コミが生まれる段階

推奨が生まれる理由

  • 子どもの成長を実感できた
  • 指導者との信頼関係
  • 道場の雰囲気が良い
  • 保護者同士のつながり

ポイント
ここまで設計できると、広告に頼らない集客(紹介・口コミ)が自然に生まれます。

5A理論を意識することで得られる道場経営のメリット

カスタマージャーニー設計の効果

  1. HP・SNSの役割が明確になる
  2. 体験から入会への成約率が上がる
  3. 紹介が生まれやすい道場になる

感覚的な運営から、再現性のある集客・経営へと進化できます。

まとめ|道場経営は「選ばれる流れ」を作ることが重要

道場は「良い指導をしていれば自然に人が集まる」時代ではなくなりました。

  • 認知 → 関心 → 調査 → 行動 → 推奨
  • 各段階に必要な情報を、適切な形で届ける

この流れを設計することが、これからの道場経営における大きな武器になります。

FAQ:よくある質問

Q
5A理論は小さな道場でも活用できますか?
A

はい、むしろ小規模道場ほど効果的です。
無駄な広告を減らし、必要な情報だけを届けられます。

Q
まず改善すべきポイントはどこですか?
A

多くの場合「Ask(調査)」の情報不足です。
料金・方針・雰囲気を分かりやすく整理しましょう。

Q
5A理論はSNS運用にも使えますか?
A

使えます。
SNSはAware・Appeal、HPはAsk・Actを担うと考えると整理しやすくなります。

関連記事