「月謝を上げたい。でも退会されたら困る…」
そんな葛藤を抱えて、値上げのタイミングを先延ばしにしている道場も少なくありません。

しかし、しっかりとした“伝え方”と“準備”をしていれば、
値上げ後も会員の信頼を失うことなく、むしろ関係性が深まるケースもあります。

今回は、月謝を改定する際に退会を防ぐために押さえておきたいポイントを
4つに絞って解説します。

道場の理念や価値をしっかり届け、
安心して値上げができる環境を整えていきましょう。

このコラムを書いた人
大谷悟
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
  • 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
  • 自身も武道有段者で道場を運営
  • 前職は財務省税関で広報や政府開発援助に携わる

理由を明確にする

まずは、月謝を上げる「理由」を明確にしましょう。

  • 指導クオリティの向上やサポート体制の強化
  • 新しい指導メニューの導入や教材の充実
  • 生徒の意欲を高めるための新たなイベントや発信活動

たとえば、
「今後も指導の質をさらに高め、子どもたちがより意欲的に学べる環境を整えるため、
〇月より月謝を〇〇円改定させていただきます。」
といった形で、具体的な“価値の向上”を目的として伝えると納得されやすくなります。

また、「これまで据え置いてきたが、今後の道場継続のため必要な判断」という
誠実な姿勢も信頼につながります。


値上げ時に退会を防ぐための“伝え方の原則”

値上げを伝えるときに最も重要なのは、“印象”です。

「突然」「一方的」「金額だけ」の伝え方はNG。
以下の3つを意識することで、退会リスクを大きく減らすことができます。

  1. 予告型にする:1〜2ヶ月前に予告し、準備期間を設ける
  2. 文書+口頭で伝える:LINEや紙の案内だけでなく、面談や対面での説明もセットに
  3. 「価値向上」を中心に伝える:単なる料金改定ではなく、「より良い指導環境」「新しい学びの機会」「道場の魅力アップ」など、価値の向上として伝える

▼例文:
『今回の月謝改定は、より質の高い指導環境を維持するためのものであり、
皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。』

誠意を持った言葉と説明があれば、保護者も納得してくれるケースが多いです。


値上げ後の不満を減らす“先回り対応”とは?

月謝を上げた後の“フォロー”も極めて重要です。
納得して稽古を続けてもらうために、値上後に月ごとにテーマを設けた「集中強化月間」や、月末のプチ表彰などのような施策を検討してみましょう。

このような取り組みをすることで、稽古生・保護者の満足感アップにつながります。

さらに、LINEなどで稽古の様子を動画で共有すれば、
保護者の安心感・信頼感も高まります。

そして何よりも大切なのが、
日々の声かけや情報発信による信頼の積み重ねです。


他道場との比較ではなく「自分たちの理念」で語る

月謝の話になると、どうしても「他の道場のほうが安いのでは?」という話になりがちです。

ですが、価格で勝負すると、値段目当ての会員ばかりが集まり、
やがて道場の雰囲気や理念が崩れてしまう危険もあります。

だからこそ、「理念と価値」で語ることが大切です。

「武道を通じて心を育てたい」「子どもに自信を持たせたい」
こうした道場の想いを、価格改定時にも丁寧に伝えることで、
価格ではなく「この道場で学ばせたい」と思ってもらえるようになります。


まとめ

月謝改定は避けては通れない判断ですが、
誠意ある対応と工夫があれば、保護者との信頼は深まります。

今回のポイントは以下の通りです。

  • 値上げの理由は“価値向上”にフォーカスする
  • 予告・説明・フォローの3ステップで伝える
  • 値上げ後の「見える改善」で納得を得る
  • 他と比較せず、理念と信念で語る

これらを実践すれば、退会されずに月謝を見直すことは十分に可能です。

「月謝を上げて、信頼も上げる」
そんな道場運営を、ぜひ目指していきましょう。