道場に所属している選手は大会で入賞続出。
指導の手ごたえもあり、選手の育成にも自信がある!
にもかかわらず、なぜか体験申込や新規入会が増えない――。

そんな状況に、疑問や焦りを感じていませんか?

この記事では、「強い選手がいる=人気道場」とは限らない理由と、一般層に選ばれる道場になるためのポイントを解説します。
選手育成に力を入れている道場こそ、陥りやすい“集客の落とし穴”を明らかにしていきます。

このコラムを書いた人
大谷悟
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
  • 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
  • 自身も武道有段者で道場を運営
  • 前職は国家公務員として広報や政府開発援助に携わる

なぜ「強い選手=人気道場」にならないのか?

選手が大会で優勝したり、全国大会に出場したりといった実績は、武道業界の中では大きな評価対象です。
しかし、それがそのまま“一般会員の入会動機”になるかといえば、必ずしもそうではありません。

多くの保護者が子どもの習い事に求めるのは、「強さ」よりも「人間的な成長」です。
たとえば、礼儀が身につく、自信がつく、集中力が高まるなど。
そのため、実績ばかりを強調しても、「うちの子にはハードルが高いかも…」と感じさせてしまい、かえって敬遠されることがあります。

また、SNSやホームページで「〇〇大会優勝!」「全国〇位!」といった投稿が続くと、すごいと感じる一方で、
「自分の子どもはついていけないかも…」
という不安を与える場合もあります。

悲しいことに強さをアピールすることが、結果的に“距離感”を生んでいる可能性があるのです。

入会につながるのは「共感と安心」

新規会員の多くは、初心者であり、これから入ろうと思っている道場の雰囲気や人間関係に不安を感じています。
そのため、選手の強さよりも
「この道場なら安心して通えそう」
「子どもが楽しんで続けられそう」
と思えることのほうが、入会の決め手になります。

具体的には、以下のような要素が大切です。

  • 初心者歓迎の空気がある
  • 優しい先生が丁寧に指導してくれる
  • 子どもが笑顔で帰ってくる

また、「教育的な価値」が伝わる表現も重要です。
「礼儀を学ぶ」
「仲間を思いやる」
「自己肯定感を育てる」
このような内容をしっかりと伝えて、“強くなること”以外の魅力をしっかり発信することが重要です。

選手育成と一般指導、同時に伝える工夫

もちろん、選手育成をやめる必要はありません。
むしろ、それを「道場全体の質が高い」ことの証拠として活用すべきです。

ポイントは、選手向けと初心者向けの内容を明確に分けて伝えることです。

  • ホームページでは、ページを分けて「選手向け」「初心者向け」と分かりやすくする
  • SNSでは、ハードな練習だけでなく「体験の様子」「初心者が楽しく稽古している様子」も紹介する
  • 体験会では、選手クラスではなく、誰でも楽しめる稽古内容にする

こうした工夫をすることで、強い選手がいることも“安心感”につながり、道場の信頼性を高める要素になります。

まとめ|“強さ”だけでは人は集まらない

選手の育成は素晴らしい成果です。
しかし、道場の成長にはそれだけでは不十分なこともあります。

集客には、「強い」だけでなく、「安心」「共感」「通いやすさ」といった視点が必要です。
実績はあくまで信頼材料の一つにして、教育的価値や道場への通いやすさとセットで伝えることが、これからの道場には求められます。