「月謝は地域で一番安い。でも運営はいつもギリギリ」
「もっと生徒を集めるには、月謝を下げたほうがいいのか…?」
このように、価格を安くすれば生徒が増えるという発想は、道場業界に根強くあります。
しかし、それは短期的な集客には有効でも、長期的な運営においてはむしろリスクが高い選択です。
何より、月謝が安すぎる状態では、どれだけ頑張っても利益が残らない構造になってしまいます。
「道場を本業にしたい」「自分の時間も大切にしたい」
そんな想いを実現するには、“持続可能な価格設定”が欠かせません。

- 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
- 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
- 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
- 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
- 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
- 自身も武道有段者で道場を運営
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なぜ「月謝が安い道場」は経営が苦しくなるのか?
多くの道場が「周りより少し安く」「入会しやすい価格」で月謝を設定しています。
しかし、その“少しの安さ”が、あなたの運営をじわじわと圧迫していくのです。
低価格路線が招く3つのリスク
- 利益率が下がり、運営を圧迫する
- 時間あたりの収益が低く、指導が消耗戦になる
- 安さに惹かれた層ほど離脱も早く、継続率が低い
たとえ一時的に新規会員が増えても、価格に惹かれた顧客ほど「安さ」を軸に判断するため、
少しでも条件が変われば離れてしまうリスクが高くなります。
安定した経営に必要なのは、価格ではなく信頼で選ばれる道場を目指すこと。
そのためには、「安いから安心」ではなく、「しっかりしているから安心」と思ってもらう必要があります。

値決めで見落とされがちな3つの視点
価格設定を間違えると、利益を失うだけでなく、「安い=中身がない」という誤解を招いてしまいます。
特に以下の3つは、多くの道場で見落とされがちな視点です。
地域相場だけを参考にしていないか?
「周囲がこの価格だから、自分の道場も同じにしておこう」
このような横並びの価格設定では、あなたの道場の個性や魅力が埋もれてしまいます。
道場生に対してしっかりとした価値を提供しているのであれば、その価値を価格に反映させなければ損をしてしまうことになります。
価格は“競争”ではなく、“表現”です。
道場の強みを正しく伝えられる金額で設定しましょう。
昔の基準に引っ張られていないか?
「自分が習っていた時は5,000円だった」
「先代の頃はもっと安かった」
こうした“過去基準”に引っ張られている道場長は少なくありません。
しかし、保護者世代の価値観も、物価も、求められる教育の質も、昔とは大きく変わっています。
今の保護者は、以下のような視点で選びます:
- 子どもが楽しく通えるか
- 成長や変化を実感できるか
- 教育的に信頼できるか
こうした“現代の基準”に照らして価格を設定する視点が必要です。
ホームページやSNSで道場の魅力を発信できているか?
価格に対する納得感は、単なる金額の問題ではありません。
「この道場は、この月謝だけの価値がある」と感じてもらえるかどうかが、月謝に対する印象を大きく左右します。
そのためには、ホームページやSNSを通じて、道場の魅力や指導方針、雰囲気をしっかり伝えることが不可欠です。
どれほど指導内容が充実していても、外部にその価値が伝わっていなければ、価格だけで判断され「高い」と誤解されてしまうリスクがあります。
今の保護者や見込み会員の多くは、道場を選ぶ際に必ずネットで情報を調べます。
そのときに、ホームページやSNSで伝わる情報が少なかったり、魅力がうまく表現されていなかったりすると、候補から外されてしまう可能性もあります。
一方で、活動の様子や理念がしっかりと伝わる発信があれば、
「この価格にも納得」
「ここなら安心して通わせられる」
と感じてもらいやすくなります。
つまり、価格に見合った価値があることを、ホームページやSNSで可視化することが、選ばれる道場への第一歩です。

価格が“道場のブランド”を決める
月謝は単なる支払い金額ではなく、保護者にとっての「期待値」でもあります。
安すぎる月謝は「この道場、本当に大丈夫かな?」という不安につながりやすく、
逆に高価格でも「この金額ならちゃんと見てくれそう」と納得されることもあります。
【価格とブランド印象の関係】
月謝の印象 | 道場のイメージ |
---|---|
安すぎる | 支援が薄そう・管理が不安・長く続かなそう |
適正価格 | しっかりしていそう・地域に根付いている |
高価格帯 | 意識が高い・本気で成長を支援してくれそう |
価格は、“言葉に出ないメッセージ”です。
だからこそ、自信を持って価格を設定することは、道場の姿勢そのものを伝える行為でもあるのです。

まとめ|「価格=価値」の発想が経営の未来を変える
これまでの「安さで勝負する」時代は終わりました。
これからは、「価格=価値」という考え方で、見学者や保護者に納得してもらう仕組みを持つ道場こそが選ばれる時代です。
- 適正な価格でこそ、道場の質と継続力を保てる
- “価値を伝える力”があれば、価格は信頼に変わる
- 値決めは単なる事務作業ではなく、「経営判断」である
価格に自信が持てるということは、あなたの道場の存在意義に自信があるということ。
長く愛される道場をつくるために、価格について検討してみてはいかがでしょうか。