道場を運営する上で避けては通れない「お金」の問題。
今回のコラムでは道場運営の代表的な3パターンの年収をシミュレーションしたいと思います。
これから道場運営をしようと思っている人やすでに、道場運営をされていて収支の改善をしたい方の参考になれば幸いです。

このコラムを書いた人
大谷悟
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
  • 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
  • 自身も武道有段者で道場を運営
  • 前職は国家公務員として広報や政府開発援助に携わる

道場運営にかかる収支と平均年収の考え方

そもそも、道場運営における収支にはどのようなものがあるのでしょうか。
道場によって多少の差はあるものの代表的なものでは次のような項目があります。

収入

  1. 月会費(月謝)
  2. 入会金
  3. 年会費
  4. 昇級・昇段審査費用
  5. グッズ販売

これらの収入の中で道場運営のメインとなるのは毎月の月会費です。
後述しますが、月会費の金額設定が道場運営を大きく左右します。

道場の主な収入源

支出

  1. 施設代(常設の場合は家賃)
  2. 人件費
  3. HP等の集客にかかる費用
  4. ミットなどの備品代
  5. 協会への登録費

支出では運営パターンによって項目の割合が大きく変わってきます。
公共施設の場合は施設代を低く抑えることができますが、レンタルスタジオや常設の場合は施設代が大きなウェイトを占めることになります。

それでは、道場運営にかかる収支を整理したところで、公共施設・レンタルスタジオ・常設道場の3パターンでそれぞれ年収をシュミレーションしてみようと思います。

公共施設の場合の年収シミュレーション

一番多いパターンが公民館や体育館などので公共施設を借りて運営するパターンです。
施設代が安く、場所によっては無料で借りれる施設もあり主に本業をしながら副業として道場運営する方が多いです。
ただし、無料の施設は基本的に営利団体NGなので、そのあたりは留意する必要があります。

シミュレーション条件

会員数:10人
月会費:3,000円
年会費:5,000円
施設代:1回1,000円 年間稽古数48回(週1回×4週間×12か月)
※昇級審査やグッズの収入、指導員の人件費などは考慮せず

収入

月会費
3,000円×10人×12か月=360,000円

年会費
3,000円×10人×1回=30,000円

合計
390,000円

支出

施設代
1回1,000円×年間稽古数48回(週1回×4週間×12か月)=48,000円

合計
48,000円

年収

収入390,000円-支出48,000円=342,000円

公共施設で会員10人の場合は年間で342,000円の収入になります。
毎月3万円弱の副収入があるというイメージでしょうか。ただし、月会費の設定次第では収入を増やすことが可能です。

レンタルスタジオの場合の年収シミュレーション

続いてレンタルスタジオを借りて道場を運営するパターンです。
こちらは、公共施設と違い施設代が高くなる一方で鏡や更衣室があったりと施設面で優れているケースがあります。

シミュレーション条件

会員数:20人
月会費:6,000円
年会費:5,000円
施設代:1回3,000円 年間稽古数48回(週1回×4週間×12か月)
※昇級審査やグッズの収入、指導員の人件費などは考慮せず

収入

月会費
6,000円×10人×12か月=720,000円

年会費
5,000円×10人×1回=50,000円

合計
770,000円

支出

施設代
1回3,000円×年間稽古数48回(週1回×4週間×12か月)=144,000円

合計
144,000円

年収

収入770,000円-支出144,000円=626,000円

レンタルスタジオで会員10人、月会費6,000円の場合は年間で626,000円の収入になります。
毎月5万円弱の収入になります。こちらも公共施設と同様に月会費の設定、また、会員の増加によって収入を増やすことができます。

常設道場の場合の年収シミュレーション

最後は常設道場で運営するパターンです。
公共施設やレンタルスタジオと違い、テナント代が高額になるため、それ相応の会員数と月会費の設定が必要になります。

シミュレーション条件

会員数:100人
月会費:6,000円
年会費:5,000円
テナント代:月20万
光熱費等:月5万
※昇級審査やグッズの収入、指導員の人件費などは考慮せず

収入

月会費
6,000円×100人×12か月=7,200,000円

年会費
5,000円×100人×1回=50,000円

合計
7,700,000円

支出

テナント代
月200,000×12か月=2,400,000円

光熱費等
月50,000×12か月=600,000円

合計
3,000,000円

年収

収入7,700,000円-支出3,000,000円=4,700,000円

常設道場で会員が100人、月会費6000円の場合、テナント代などの費用を抜くと4,700,000円の収入になり月で約40万の収入です。

まとめ:道場運営で収入を左右するのは「月会費設定」

今回のシミュレーションはかなり簡易的に行ったため、全ての道場には当てはまらないとは思いますが、少しでも道場運営のお金に関するイメージが湧いたかと思います。

冒頭でお伝えした通り、道場運営で一番大切なのは月会費の設定です。
あまりに低い金額に設定してしまうと、道場の運営が難しくなるリスクがあります。
公共施設かレンタルスタジオか常設道場か、また、本業として行うのか副業として行うかなどそれぞれの状況に応じて適切な月会費を設定することが大切です。

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