道場を運営していると、
「体験は多い月と少ない月があるな…」
「今年は入会が少ない気がする」
といった感覚的な判断に頼ってしまいがちではないでしょうか。
もちろん現場の経験則も大切ですが、より確実に経営を安定させるには「データに基づく判断」が不可欠です。
今回の記事では、弊社のご支援道場に協力いただき、過去約5年分、合計1,395件におよぶ体験申込データを分析し、どの月・どの曜日に体験や入会が集中しているのかを解説します。
数字から見える「道場経営のヒント」を、ぜひご自身の集客戦略に取り入れてみてください。

- 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
- 武道を職業として成立させるために全国の道場長をサポート
- 広告を使わずに1年で100人の新規入会者を獲得
- 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
- 道場検索サイト(武道・道場ナビ)運営
- 自身も武道有段者で道場を運営
- 前職は国家公務員として広報や政府開発援助に携わる

体験申込が多い月ランキング|トップは春と秋
まずは、体験申込数が多い月のランキングをご紹介します。対象期間は2020年から2025年にかけての約5年間です。
体験申込数トップ5(月別)
順位 | 月 | 体験申込数 |
---|---|---|
1位 | 4月 | 172件 |
2位 | 3月 | 144件 |
3位 | 1月 | 136件 |
4位 | 6月 | 129件 |
5位 | 5月 | 119件 |
ご覧の通り、体験者が多いのは圧倒的に「春(4月・3月)」です。
特に新年度が始まる4月や、学年末・進学準備が活発になる3月に申込が集中しています。

また、1月も「新年から何かを始めたい」という心理に後押しされていると考えられます。
そして、注目すべきは6月。
春のピークから少し落ち着いた時期ながら、意外と申込が多く、ここでキャンペーンなどを行うと隠れたニーズを拾える可能性があります。
入会につながりやすい月は?入会率から見る“本気月”
体験が多くても、入会につながらなければ意味がありません。
そこで、次に、「体験者の中から実際に入会した割合=入会率」を月ごとに算出してみました。
入会数・入会率トップ(月別)
月 | 入会数 | 入会率(体験者に対する割合) |
---|---|---|
3月 | 63件 | 43.8% |
4月 | 67件 | 39.0% |
1月 | 54件 | 39.7% |
5月 | 38件 | 31.9% |
10月 | 35件 | 29.9% |
ここでも春が非常に強く、3月と4月の入会率の高さは特筆に値します。
つまり「入会する気がある人が体験に来ている」状態です。
4月の体験申込は最多ですが、3月は“本気で比較検討している層”が多い傾向にあります。
また、体験と入会には時差があるため、3月後半に体験して4月から入会、という流れが多い可能性もあります。

申込が多い曜日は?金曜・日曜・木曜が狙い目
曜日別の体験申込数も調査したところ、以下のような傾向が見えてきました。
曜日別体験申込数(多い順)
- 金曜日
- 日曜日
- 木曜日
- 月曜日
- 火曜日
- 水曜日
- 土曜日
特に金曜日は体験申込が集中しています。
理由としては「週末に時間が取れるので、金曜のうちに予定を決めたい」「仕事終わりに検索して申込する」といった行動が想定されます。
また、日曜も家族で相談しやすい曜日であり、習い事を検討するタイミングとして有利です。
広告出稿を検討している場合は、金曜17時〜日曜夜にかけて集中させることで効果が高まるでしょう。

10月は“第2の春”?スポーツの秋を狙え
もう一つ注目すべき月が10月です。
体験申込:117件(第4位)
入会数:35件(第5位)
入会率:約29.9%
10月は、「スポーツの秋」や「行事ラッシュ後にやっと落ち着く時期」として、家庭内で新しい習い事を検討する動きが高まるタイミングです。
春の施策と並行して、10月にも入会キャンペーンや無料体験を実施することで、年間を通じた安定的な集客が可能になります。

このデータから導き出される3つの具体戦略
過去1,395件のデータをもとに、道場経営者が取るべき具体的な戦略を3つに整理しました。
① 春(3〜5月)をメイン集客期に設定する
- この時期に向けてホームページ・LINE・SNSなどの導線を整える
- 紹介キャンペーンや体験特典などもこの期間に集中させる
② 秋(10月)に第2弾のキャンペーンを行う
- 夏以降のニーズを拾うために、9月中に準備を開始
- 入会金無料や特典プレゼントなどで“今始める理由”を提供
③ 金曜〜日曜にかけて配信・申込導線を強化
- 金曜夕方にLINEやメルマガで体験誘導
- 広告出稿も「金17時〜日曜夜」で集中配信

まとめ|道場経営にこそ「数字に基づく戦略」を
感覚や勘だけに頼らず、データをもとに行動することが安定経営の第一歩です。
今回の分析から見えてきたのは、「春と秋に体験・入会の波があり、週末(金〜日)にアクションが集中する」という明確な傾向です。
この傾向に合わせてスケジュールと施策を設計すれば、体験から入会への流れが自然に作れます。
今後は、地域別や道場別、広告別の成果など、さらに詳細な分析を行うことで、より高精度な施策設計も可能になります。